子どもの心のお話と発達障害(乳幼児期編)

子どもの発達について

子どもの心理的な問題って何?

子どもは幼児期から児童期、青年期にかけての各時期に起きやすい心理的な問題があります。保育をしていると、いわゆる「気になる子」に出会うこともあります。それら全ての背景に深刻な問題があるわけではないですが、それぞれの発達段階においてどのような問題と対処法があるのかを見ていきたいと思います。

乳幼児期の心の問題

赤ちゃんの後ろ姿

乳幼児期は食事、排泄、睡眠などの生活習慣が確立する時期ですが、家庭環境や不適切なしつけなどによって、不適応を起こす子どもも見られます。こういった乳幼児期の心の問題は主に身体的・行動的な面に現れることが多く、小学校低学年までに現れる問題は、色や習癖に関する異常、または遺尿、遺糞、場面緘黙、チックなどが挙げられます。睡眠に関する以上に関しては、夜驚症、夢遊病、悪夢などがあります。

この時期の子供には外因性・内因性・心因性のものがありますが、多くは心因性のものになります。ここでは以下の内容について見ていきたいと思います。

  • 異食行動
  • 習癖異常
  • 吃音症(小児期発症流暢障害)
  • 遺尿症(夜尿症・昼間夜尿症)
  • 遺糞症
  • 場面緘黙症(選択性緘黙)
  • チック症
  • 睡眠時驚愕症(夜驚症)
  • 睡眠時遊行症(夢遊病)
  • 悪夢(悪夢障害)
  • てんかん

異食行動

異食とは、栄養価のないものを食べてしまう行動です。代表的なもので言えば、土・紙・消しゴム・髪・チョークなどです。場合によっては中毒症状を起こす物質もあるので、注意が必要です。この場合、特定の身体疾患や愛着障害、発達の未熟、精神遅滞や発達障害に起因する可能性も考慮に入れる必要があると言えるでしょう。

主にどういった時にこの症状が現れるのか?精神医師会の発表では、精神遅滞児に最も多く見られる症状として挙げられています。時折、子どもは異食行動をすることは普通に見かけますが、この状態が1ヶ月以上続いた場合には異食行動として診断が下されます。こういった症状が見られた際、どのような対応が必要になるのでしょうか?

行動記録をつけて原因を探ろう!

異食をした時の記録を付けて本当の理由を探って見ましょう!

  • 何もすることがなくて退屈? → 外に遊びに出かけたりする
  • 感覚遊びを活発に! → 口以外の感覚遊びを提供(全身・指先遊び)してみよう!
  • お腹が単純に空いているのかも → おやつを与えてみよう

何かしらの原因が隠れいることも多々あります。ただ、異食をする際に、危険なものもたくさんあります。電池や重金属、タバコや洗剤など。これらを間違っても口にしないよう、手の届かないところに隠しておくことは環境を整える上で絶対になります!

習癖異常

 習癖異常とは、習慣的に身体のある部分をいじる行為で、何らかの心の問題があることが考えられます。代表的なものとして、指しゃぶり爪噛み性器いじりなどがあります。子どもの癖は精神心理学的問題を表現していることがあり、注意が必要です。

どんなケースで習癖異常が表れるの?

習癖異常は特に養育者の子育てのあり方や、性格傾向が大きく関与していると言われており、よくあるケースとしては、完璧主義で几帳面な強迫傾向を持つ養育者が、子供に能力以上の完璧さを求めて養育した場合、習癖異常になりやすく、またそれを悪化させてしまうこともあります。

ほとんどのケースでは、子どもの神経的な面において、神経質であったり、過敏で頑固な性格など子どもの気質も大きく関係すると言われています。

癖を治すというのはとても難しいことでもあるので、まずはできることとして、子どもの心因的な面と向き合い、心が落ち着く環境を一度整えてあげることが良いと思います。

吃音症(小児期発症流暢障害)

吃音症は発語時に言葉が連続して発せられたり、瞬間あるいは一時的に無音状態が続くなど、言葉が円滑に離せない障害で、言語障害の一種のような症状を示す病気です。どもり、吃音とも言われ以下の種類があります。

  • 連続型 → 言葉の出だしが重複する症状。「わ、わ、わ、私は」といったタイプで最も多く見られるタイプです。
  • 難発型 → 問いかけてもすぐに返事ができない、出だしの言葉がなかなか出てこない、会話中も間が空いてしまうタイプです。
  • 中阻型 → 本人が会話している時、突然声が止まってしまう、声が出なくなるといったような会話が中断して間が空いてしまうタイプです。
  • 伸発型 → 言葉の始まりが伸びるような感じの症状です。「こーーーーれは」「あーーーーりがとう」といったタイプです。
  • 混合型 → 上記の様々な種類の吃音が混合しているタイプです。

吃音症も心因性のものが多く、緊張を促すような環境、及び本人の性格的な理由によるものが多いと思われます。まず、本人の不安や緊張を和らげることが重要になってきます。

遺尿症(夜尿症・昼間夜尿症)

遺尿症は排泄障害の一つです。トイレではない下着の上や床の上など、本来排尿すべきでない場所で排尿をして今います。特に身体的な異常や病気がないにもかかわらず5歳以上の子供がこのような行動を週に2回以上行こない、それを3ヶ月以上繰り返す場合を言います。4歳以下の遺尿に関してはそれほど気にしなくても良いと思います。遺尿症は全体の6〜9%程に見られ、男児の方が多い傾向にあります。トイレットトレーニングが成功し、トイレでおしっこをするといったことが確立された後の遺尿に関しては、精神的・肉体的なストレスが原因となっていることが多いです。対処としてもそのストレスを究明し、取り除くように努めることです。

遺糞症

遺糞症も排泄障害の一つです。こちらもほとんど遺尿症と症状は変わらないのですが、4歳以上の子供が月1回以上行い、それを3ヶ月以上繰り返す状態を言います。原因としても遺尿症と同じく、ストレスからくるものが多いですが、中には不適切なしつけや親の注意を引くための故意のものもあります。

場面緘黙症(選択性緘黙)

場面緘黙症とは、家庭などでは話すことができるのに、社会不安(社会的状況における不安)のために、学校や幼稚園といったある特定の場面、状況で全く話すことができなくなる現象を言います。幼児期に多く発症します。

これ以外にあらゆる生活場面で全く話さない完全緘黙症もありますが、これはごく稀です。家庭環境や外的なストレス、先天的な性格などが原因と考えられていますが、無理に会話を強いたりすることは逆効果を生んでしまうので、お子様のペースに合わせて、安心して会話ができる環境を整えることが大切になります。

チック症

チック症は本人の意思とは関係なく、特定の細かく素早い身体的動作が繰り返し起きてしまうものを言います。一番多いのは瞬きで、そのほかにも頭を振る、首をピクッと動かす、顔をしかめる、口を曲げるなど、様々な形で症状は現れます。不安・ストレス・緊張・心の葛藤などがきっかけで発症することが多いですが得に問題がないにも関わらず起きる場合もあります。

精神的なストレスや緊張感から、一時的にこのような症状の出る子どもは多いですが、そのほとんどは1年未満の短期間に消失します。(一過性チック障害)しかし、1年以上にも渡って続く慢性運動性チック障害、あるいは慢性音声チック障害と呼ばれるものもあります。

睡眠時驚愕症(夜驚)

睡眠時驚愕症とは睡眠中に突然起き出し、恐怖の感情を示しながら叫び声を上げるといったことです。大体、数分から十数分間症状が続きます。これは、夢とは異なり、目覚めた時に本人はそのことを覚えていないのが普通です。小学校入学前から小学校低学年の児童に見られる症状で、小学校高学年以上では稀です。

夜驚症は、脳の成長過程で起こる現象です。脳が睡眠と覚醒のバランスをうまく取れないことで起こります。寝ているのに部分的には目を覚ましている状態になるため、体が動いてしまうのです。遺伝も関係していると考えられており、生まれつきの脳の性質によるもので、しつけや育て方とは関係ありません

比較的深い睡眠の時に起こると言われているので、昼寝をするなどして夜の睡眠の状態をコントロールしたり、安心して就寝するまで保護者が付き添うことも有効でしょう。

睡眠時遊行症(夢遊病)

睡眠時遊行症とは、睡眠中に発作的に起こる異常行動のことです。俗に夢遊病というやつです。無意識の状態で起き出し、歩き回ったり何か特定の動作や作業をした後に再び就眠しますが、その間の出来事を記憶していない状態を言います。

このような夢遊病の多くは、就眠後1時間から3時間のノンレム睡眠時に発生することが多いことがわかっています。原因としては、興奮状態のまま眠りについてしまうことや、精神のストレスによる理由が多いとされています。

悪夢(悪夢障害)

悪夢は皆さんも見ることは多いのではないのでしょうか。しかし、この悪夢は時に新たな病気に発展することもある為、軽視は出来ないのです。現実世界で悲惨な場面を見たり、体験したりすると夢で何度もそれを体験することがあります。このような状態が続いてしまうと、精神療法など不安や精神的ストレスを除くためのケアが必要になります。

てんかん

てんかんとは、脳細胞のネットワークに起こる異常な神経活動のため、てんかん発作を起こす疾患あるいは症状です。てんかん発作に伴う主な症状は、強直性、間代性(筋肉の収縮と弛緩を繰り返す不随意運動)の痙攣ですが、痙攣を伴わない発作もあります。また、意識障害として、突然意識や記憶が失われ、活動が止まって昏倒する場合もあります。ただし、大半の発作は一過性で数分から十数分程度で回復するのが一般的です。

てんかんは発作時には本人及び周囲の人間がぶつかったりして怪我をすることがあるので、注意が必要です。


以上が乳幼児期によく見られる心の問題です。乳幼児期は脳や身体の発達が目まぐるしいため、発達過程において何かしらの神経伝達異常によって起きてしまう症状もあるので、異常な行動が全てストレスによるものやしつけなどが原因とは限らないので、しっかりとお子様の状態を把握することが大切です。

LITALICOジュニア|発達障害・学習障害の子供向け発達支援・幼児教室|療育ご検討の方にも
LITALICOジュニア(リタリコジュニア)はお子さま一人ひとりに合わせた教育・指導を行っています。幼児教室・学習塾・児童発達支援・放課後等デイサービスとして運営しており、発達障害・ADHD・学習障害のお子さまへの学習支援・教育支援の実績が多数あります。

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