日本でも有名なこのことわざ「三つ子の魂百まで」
このことわざにある3歳までの魂は100歳まで続くというのは人間の発達学的にも、心理的にも理にかなっており、3歳までに経験することが、人の人格を形成する。今日はこの「三つ子の魂百まで」について深掘りしていきたいと思います。
人間の発達段階
人の発達段階を見てみると、3歳前後になると、子どもの自我がで始める頃であり、いわゆる人としての形成がで始める頃ということもあり、最初に位置付けられた自我はその人の基礎になるというのが、このことわざの所以であるとされています。子どもはこの3歳になる頃までに、色々な発達や葛藤などを経験し、基本的な人格が形成されるとされています。
社会に対しての信頼感や不信感、自律心や羞恥心などがエリクソン の発達段階説でも挙げられています。この信頼と自律を基盤に、社会や人間とどう関わっていくのか、どういった接し方で形成されているのかによって大きく変わってくるとされています。具体的にはどういったことなのかを挙げていきたいと思います。
ケース1:不適切な養育がもたらす影響
いわゆる不適切な養育によってどのような影響が及ぼされるのか。例として、幼児期に何か自発的に子供が行った結果、悪事となってしまった際に、親が叱りつけるといった行動が繰り返されたとします。
すると、子どもの視点からすると、子どもにとってほとんどの事柄は初めてのことが多く、良し悪しの分別はつきません。その中で、自発的に行動し、良かれと思ったことが結果として親から叱りつけられ、絶対的信頼感をおいている親の怒った顔が目の前に現れます。さて、子どもはどのような状況に陥るのでしょうか。
こういった養育を受けた子どもは大人になっても潜在意識の中で自発的に動くことに対して臆病な意識が植え付けられることになります。逆に叱られるのではなく、親から受け入れられて寛容に養育されてきた子どもは大人になってからも潜在的に前向きな姿勢で事物に取り組むことができるようになります。
このように大人になっても心の中の潜在的な部分で影響が出てくることで多くの取捨選択に影響が出てくるのです。
ケース2:社会に対する信頼感
幼い頃に、親が親身に付き添って養育されてきた子とある程度放任に養育されてきた子がいるとします。(どちらが良い・悪いというわけではありません。)親が過保護に子どもが泣く度にあやしているケースと、泣いてもただわがままで泣いている際は放任されてきたなどでは人に対しての基本的信頼感が変わってきます。過保護に養育されてきた場合は、基本的に人は助けてくれるものだという根本的な考えを持ちますが、放任的に育てられてきた場合は、自身でなんとかしなければならないという根本的な考えを持ちます。
もちろん青春期や大人になってからの環境因子によって受ける影響も大きく関係はしてきますが、この根本的な最初に植え付けられた価値観というのはそう簡単に払拭されるものではありません。
幼児教育がもたらす影響
実は、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の追跡調査によると、幼児教育は学力だけでなく、人生をも変えてしまう影響をもたらすとのことです。
この研究では、幼児の環境を豊かにすることが、学力向上だけでなく、肉体的・精神的な健康、忍耐力、やる気、自信、協調性といった社会的・情動的性質にも影響を与えるとされています。
しかも、その肯定的な効果はその後も継続され、40歳時には、幼児教育を受けた人たちは収入や持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低いという報告があるそう。幼少期に質の高い教育を与えることが、人生の成功のカギなのかもしれませんね。
「自己肯定感」を高めてあげることが最も重要!
幼児教育は専門家に任せるにしても、3歳までに親ができることもあります。最も重要なのは、子ども自身が「自分は大切な存在だ」と感じ、自分を肯定できるようになること。
人格形成の根底ができ上がる、この3年間という時期に「(自分は)愛されている」「(自分は)必要な人間だ」と、肯定的に自己や世界を見られる環境を作るようにしましょう。自己肯定感を高めれば、自信をもつことができ、生き抜く力が生まれますよ!
「自己肯定感」を高めるためには?
「自己肯定感を高める」といっても、いったい何をすればいいのか分からないパパやママもいるかもしれませんので、具体的な方法をご紹介していきましょう。
まずは、いっぱい「抱きしめて」あげましょう。おそらく、日々の子育てでも抱きしめたり抱っこしたりはしているでしょうから、とくに難しいことはないですよね。
2歳にもなれば、抱っこも結構な重労働になり、せがまれても拒みたくなってしまいますが、それでもできるだけ抱きしめたり抱っこしてあげるようにしください。子どもはママに抱かれれば安心するもの。その安心感や満足感が信頼関係に結びつくことを忘れないようにしましょう。
また、「子どもの話を聞いて共感する」ことも大切です。
「ママー!ママー!」と、忙しいときに呼ばれると、イライラして怒ったりしていませんか? ママにはやることが沢山あり、忙しいのは分かりますが、家事の手を止めて子どもの話を聞いてあげることも必要です。
さらに、子どもが話しているときには口を挟まず、最後まで聞いてあげましょう。真剣に話を聞いてあげることで、自己肯定感が高められていきますよ。
また、子どもを待たせるときには、“どうして待って欲しいのか”をきちんと子どもに見せたり、聞かせたりするようにしましょうね。
さらに、「許す・認める・受け止める」ことも大事です。これは、簡単そうで結構難しいことかもしれませんが、このように全てを認めてあげることはとても大切なことなのです。
子どもが悪いことをするのは、親の注意をひきたかったり、寂しかったり、ただ単に悪いことだと知らなかったりするから。
それなのに、闇雲にただ「ダメ!」「いけない!」と怒れば、子どもは自分の要求を表現できなくなるばかりか、親が自分の存在を認めていないと考えてしまうようになるかも。
親の方は、子どもが“なぜ悪いことをしたのか”を考える余裕をもちたいものです。どんなに小さな子どもでも、意思をもつ1人の人間であることを忘れずに!
生まれてからの3年間は脳も心も急成長する、人格形成に最も重要な時期。だからこそ、この時期に教育が必要なのです。学力だけなく、精神的にも強い子どもに育てるために、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
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