子どもの健康診断(感染症編)

保育士試験内容

子どもは出生時、生後1ヶ月健診は医療機関を中心に任意で行われています。法律(母子保健法)で定められている健診は1歳6カ月、3カ月健診で、その他の健診も含めてどのような健診があるのか、子どもの主な疾病はどんな種類があるのかを把握しておくことはとても大切なことです。

出生児健診

出生後は体重、身長、頭囲、胸囲を測定し、先天性の奇形がないか、呼吸状態が問題ないか診察し、その後、哺乳、排泄頭が順調か、黄疸がひどくないかを観察します。生後4、5日目に採血を行い、フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症の先天性代謝異常症や先天性甲状腺機能低下症(クレチン病)、外性器の以上をきたす副腎皮質過形成症のマススクリーニングを行います。

1カ月健診

出生した病院で母子一緒に行うことが多いです。体重、身長、頭囲、胸囲を測定し、授乳が適切か、発育は順調か、先天的疾患がないか、などを診察して、ビタミンKの投与(ビタミンKは母乳からでは摂取できないため、ビタミンK欠乏症予防のため)を行います。出生後に行った検査で異常がある場合はその後の指導を行います。

3〜4カ月健診

体重、身長、頭囲などの発育は順調か、首はすわっているか、追視があるか、音に対する反応があるか、喃語の発生があるか、先天性疾患はないかなど、発育、発達の異常をチェックし、離乳食開始に向けての指導を行います。

1歳6カ月健診(根拠法:母子保健法)

1歳半健診は母子保健法によって、市町村が行うことが義務づけられている定期健診です。もし指定された日時に都合がつかない場合には、日程を変更したり受診場所を変更したりできるか、最寄りの役所や保健センターに相談してみましょう。対象は満1歳6か月を超え満2歳に達しないお子さますべてで、料金は無料です。

1歳半健診では、運動機能や視聴覚など身体の成長と、精神発達の度合いをチェックします。それにより、お子さまの発達状況を把握するとともに、先天性疾患や精神発達の進度などの問題を早期発見し、適切に指導・対応することで心身障害の進行を防止することが目的です。

持ち物

・母子健康手帳
・健康保険証
・乳幼児医療費受給者証
・記入した問診票
・虫歯予防指導のための歯ブラシ
・オムツとオムツ替えセット(汚れ物を入れるビニール、オムツ替えシート、おしりふきなど)
・水筒など水分補給セット
・筆記用具
・ウェットティッシュ
・タオル(防寒や汗・よだれ拭きのため)

3歳健診(根拠法:母子保健法)

3歳半健診は母子保健法によって、市町村が行うことが義務づけられている定期健診です。もし指定された日時に都合がつかない場合には、日程を変更したり受診場所を変更したりできるか、最寄りの役所や保健センターに相談してみましょう。対象は満3歳を超え満4歳に達しないお子さますべてで、料金は無料です。

3歳児は心と体の発達が著しく、社会性や生活習慣の基礎を身につけ始める大切な時期です。2歳児の頃以上に、運動神経や手先の器用さが発達し、できることの範囲が著しく増えていきます。3歳になるとことばでコミュニケーションがとれるようになるので、物事の善悪、社会のルール、子ども同士の関わり方など、自己主張を認めながら一貫した考えを持って「きまり」を守れるような働きかけも必要になってきます。
3歳児健診では、成長の節目でもありますが、今後集団生活を行うにあたって総合的な健診を行うことで、病気や障害を早期に発見して健やかな成長を促すとともに、保護者の方への育児サポートも目的としています。

持ち物

・母子健康手帳
・保険証
・事前に送られてきた問診票
・目と耳のアンケート
・尿
・歯ブラシ
・返信用封筒

子どもの主な疾病の特徴

子どもは免疫の発達途上であるため、特に集団生活をし始めた時には、感染症にかかることが多いです。発熱の経過や発疹の性状で診断できる疾患も多く、それぞれの疾患の症状や主な治療法を知っておくと役立つと思います。

麻疹(はしか)

麻疹ウィルスは空気感染のほか、飛沫感染、接触感染で感染し、感染力は極めて強いです。摂食してから発症するまでの潜伏期間は10日から2週間で、発熱、咳、目やになどのカタル症状から始まり、頬粘膜に白い斑点であるコプリック斑が出て、再発熱してから全身に発疹が広がります。3〜4日後、発疹は色素沈着を残して回復します。肺炎になると重症化することがあり、1歳を過ぎたら予防接種をするのが望ましいとされています。

風疹(三日麻疹)

潜伏期間は2〜3週間で、発熱と発疹が同時に出現し、頸部リンパ節腫脹を伴います。麻疹より症状は軽く、3〜4日で改善し、発疹は色素沈着を残しません。妊娠初期に患うと胎児が心疾患や白内障、張力障害を合併する先天性風疹症候群になる可能性があるので、十分注意が必要です。

突発性発疹

生まれて初めて発熱した時に、この疾患であることがしばしばあります。ヒトヘルペス6型、7型が原因です。突然、38℃以上の高熱が3日ほど続いて、解熱と同時に体幹を中心に発疹が出るのが特徴です。発熱時は意外と食欲が減らないのに、発疹が出てから下痢になったり、食欲が減ることがあります。

水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹

潜伏期間は2〜3週間で、発熱と同時に発疹が出現し、水疱となります。水疱は次第に乾燥して痂皮(かさぶた)化しますが、同時期に色々な段階の発疹が認められるのが特徴です。水痘が治癒した後、ウィルスが神経節に入り込み、抵抗力が落ちた時に神経に沿って痛みを伴った発疹が出てくることがあり、これを帯状疱疹と呼びます。

単純ヘルペス感染症

口腔に感染すると口唇ヘルペス、歯肉口内炎になり、食べる時に痛みを伴います。子供では、発熱して全身感染になることもあります。アトピー性皮膚炎のある子供では水疱が全身に広がることがあり、カポジ水痘様発疹といわれます。

手足口病

A群コクサッキーウィルス、エンテロウイルスによる手、足、口腔に水疱性発疹を認めます。発熱は軽度ですが、口腔内の発疹が痛みを伴う時には、食事の内容や摂食方法に配慮する必要があります。

伝染性紅斑(りんご病)

ヒトパルボウイルスが原因で、頰部、四肢伸側部にレース状紅斑が出現します。発熱は微熱程度のことが多いです。

流行性耳下腺炎(おたふく風邪:ムンプス)

潜伏期間は2〜3週間で有痛性の耳下腺、顎下線の腫脹が見られます。片側の無腫れることもあり、子どもは微熱のことが多いですが、頭痛が強く、嘔吐があるときは髄膜炎の可能性があります。成人では睾丸炎の合併が問題となります。

インフルエンザ

飛沫感染や接触感染で広がります。冬に流行し、突然の高熱、関節痛、頭痛で発症。子供では急性脳症の合併が問題となりますので注意が必要です。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウィルスが原因で、主に夏に流行します。発熱、咽頭痛、眼瞼結膜(まぶたの裏側)の充血が見られます。プールが始まる頃に流行するので、ピール熱共いいますが、目やに、唾液だけでなく、弁からもウィルスが排泄され、飛沫感染、接触感染、経口感染のいずれの可能性もあります。

ヘルパンギーナ

A群コクサッキーウィルスが原因のことが多く、夏に流行します。高熱と咽頭痛があり、口蓋垂に水疱ができます。

主な症状は、39~40℃の高熱が突然出る、上あごの粘膜や喉の奥に水疱ができるなど。
喉が痛くなるので、小さい子どもだと唾液を飲み込むのが難しくなり、よだれが多くなったり、嘔吐しやすくなったりすることもあります。潜伏期間は3~6 日で、多くの場合は発症から2~4日間で自然に回復します。

乳幼児嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)

主に冬期に流行し、嘔吐や発熱を伴うことが多く、腹痛を訴えることもあり、食欲不振となります。便の色が白色となる時は、ロタウイルスが原因で、白色便にならない嘔吐下痢症では、アデノウイルスやノロウイルスが原因のことが多いです。乳児では発熱、嘔吐、下痢が激しく脱水症になりやすいので、食事療法や水分補給の注意が必要です。

ブドウ球菌感染症

子供では接触感染で皮膚に広がる伝染性膿痂疹(とびひ)がしばしば見られます。アトピー性皮膚炎や発疹がある時に皮膚をかいて、広がったりします。皮膚の炎症を抑えるために抗生剤を服用します。乳幼児では全身感染になることもあり、皮膚がむけるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)となった時には、入院治療が必要となります。

溶連菌感染症

A群溶連菌による感染症で、幼児から学童によく見られ、発熱、発疹、咽頭扁桃炎のほかに苺舌が特徴的です。全身感染となったものは、猩紅熱(しょうこうねつ)と言いますが、子供では咽頭痛以外の症状がはっきりしないことがあります。感染ご、腎炎やリウマチ熱になることがありますので、感染がわかった時には通常より長く抗生剤を飲みます。

喉の分泌物を綿棒でとる迅速検査で診断ができますが、症状が良くなってから腎炎の合併症があるか尿検査をすることもあります。

百日咳

連続した咳と笛吹様吸気を繰り返すレプレーゼという症状があります。ジフテリア、破傷風との三種混合ワクチンで予防できますが、予防接種をしていない乳児では肺炎になることもあります。

マイコプラズマ感染症

発熱、咳が続き、しばしば肺炎や中耳炎になります。胸膜炎になって胸部の痛みを感じる時もあります。

ギョウ中症

成虫はヒトの腸管に寄生し、夜間、肛門に産卵します。痒みがあり、夜間の不眠の原因となります。セロハン法で虫卵の有無を確認します。発見された時には駆虫剤を家族全員で飲みます。

伝染性軟属腫(水いぼ)

子どもの皮膚に感染する水疱瘡です。掻き壊して水泡の中のウイルスが手につくと広がって行きますが、数ヶ月後には自然に治癒します。早期に完全に治癒させるためには、一つ一つのイボを芯から摘んでとることですが、特に症状はないので、自然治癒するまでそのままにしても大きな問題はありません。

頭ジラミ

集団で同じシーツで寝たり、同じタオルを使うと感染することがあります。卵だけの時はふけと区別が難しく、成虫になると痒みが出てきます。人体用殺虫剤フェノトリン0.4%粉剤(スミスリンパウダー)で駆虫しますが、髪を短くすることや、シーツ、タオルの洗濯なども大切です。

以上が感染症によってみられる主な症状になります。子どもの場合は放っておいても大丈夫なものももちろんありますが、放っておいて、合併症になりうるものなどもあるので、子どもの性状に合わせた対応と措置が必要になってきます。

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